中川先生の「ためになる話」

リフレイミング

 ある女性が歯医者に行きました。部分入れ歯がしっくりこないというのです。最初の歯医者は入れ歯に問題がないことを確認してから
「入れ歯には問題ないですな。要するにあなたが神経質過ぎるのです。入れ歯はこんなもんだと受けいれることが大事なのです。入れ歯なんだから本物の歯とは違う。違和感は当たり前です。」
こう言われた女性は二度とその歯医者に行きませんでした。そして何ヶ月か経って意を決して別の歯医者に行きました。そこでも特に異常は認められなかったのですが歯科医の対応は正反対でした。
「違和感があるのはお困りだったでしょうね。どんな時に一番違和感がありますか?なるほど、噛んだときの嫌な感じなのですね。部分入れ歯は微妙ですからね。敏感な方には辛いですね。少し調整してみましょう」と言いながら歯科医は何度も微調整を繰り返し、そのたびに女性に意見を聴きました。女性は最後に歯科医に感謝して深くおじぎをして、家に帰りました。そして夫に「今日はついに素晴らしい歯科医に会えたのよ。あなたもああでなくては駄目よ」
夫は「まあね、口の上手い医者は得だなあ」と苦笑い。鋭い読者はすでに、気づかれたかもしれませんが女性の夫とは筆者のことです。
 さて、この話の最初の歯科医A先生と後の歯科医B先生でどこが違うのか考えてみましょう。部分入れ歯への違和感の消えない女性に対して、2人の歯科医の診断は同じ、「入れ歯に対する過敏性」でしたがA先生は「あなたは神経質」と表現しました。B先生は「あなたは敏感」と表現しました。もし、あなたが患者ならどう感じるでしょうか?「神経質」と言われると何か上から見下されているように感じませんか?それに対して「敏感」と言われると、繊細さや感性の高さを配慮して貰えてる感じがしませんか?心理療法ではこのような言い換えをリフレイミングといいます。フレイムとは枠のこと、つまり内容は同じでも枠(見方)を変えて否定的な表現を肯定的な表現にする技法です。皆さんが医療職につかれた時にきっとやくに立つ方法ですので是非役立出てください。ちなみに今の皆さんをぼくなりにリフレイミングしてみると、受験不合格は不幸な出来事に思えるかもしれませんが、将来のためのトレーニングの機会が得られたと考えるのはいかがでしょう。ぼくも何か辛いことがあるたびに修行、修行と念じるようにしています。なんでもいいんです。うまくリフレイミング使いながら、今年を乗り越えましょう。

イラスト

顧問医師:中川 晶
令和3年8月

中川晶先生プロフィール

中川晶先生プロフィール

 産経新聞の『中川晶の"生き方セラピー"』でご存知の方もおられると思います。
10年来お付き合いいただいている私共が言うのもなんですが、それはもう愉快な方で、一度語り始めると尽きることがないかのように実に幅広い、しかも有益で面白い話題が湧き出てくるのです。これはおそらく、一度や二度ではない挫折体験と、森羅万象に対する、特に人間に対するとてつもない興味がなせる技だと思えます。受験生についてもご自身の実体験と、臨床心理士としての深い洞察から、真の受験生の心の友となっていただけること請け合いです。先生のユニークで的を得たお話しを、お楽しみください。

  • なかがわ中之島クリニック院長
  • 奈良県立医科大学医学部卒業
  • 精神科専門医、臨床心理士
  • 大阪赤十字病院看護部講師
  • ナラティブコミュニケーション研究所所長
  • 京都看護大学大学院特任教授
  • 奈良学園大学保健医療学部客員教授
  • 京都大学医学部講師
  • 日本保健医療行動科学会会長
<著書・共著>
「心療内科のメルヘン・セラピー」(講談社)
「やすらぎが見つかる心理学」(PHP)
「心理療法」(朱鷺書房)
「ココロの健康からだの医学」(フォーラムA)父(故人)中川米造先生との共著 他

一人ひとりが、志望学部へ。

私たちは考えます、キミにとって最善の学び方を。
私たちは用意します、キミが最大限にがんばれる学習環境を。
私たちは知っています、キミの夢に対する確固たる熱意を。
なぜそう言えるのか。
それは、医学部・歯学部・薬学部・獣医学部 受験指導で、
生徒一人ひとりに向き合い、語り合い、
共に合格を目指し、歩んできた40年間があるからなのです。

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