中川先生の「ためになる話」

コロナと個食

 新受験生はともすれば個食の機会が増えがちです。今日はコロナと個食について書いてみようと思います。
 コロナ禍が長引きメンタル不調を訴える人が増えています。様々な行動制限が設けられ、ソーシャルディスタンスという言葉がジワジワと我々を締め付けてきているようです。動物の中には虎やオランウータンのように単独生活をする種もありますが、人類はかなり初期から群居性の動物でしたし、群れて協力することで地球最強の地位を獲得したと言えます。皆が力を合わせる行動の基盤は「仲間」という絆なのですが、この絆を造るのに人類は一緒に食事する、つまり「共食」というやり方をずっと続けてきました。「同じ釜の飯を食う」という言葉はまさに絆を強める儀式にまで昇華されてきました。結婚披露宴をはじめ様々な祝賀の宴会など多くの人が集い、共食の機会が生活の隅々にまで染みこんでいるのですが、コロナ禍のもと共食は感染の温床になるという理由で、共食という文化そのものが危機に瀕しているのかもしれません。とはいえワクチンは確かに効果があります。ロンドンやニューヨークは最悪の状態を脱しつつあります。街には活気が戻りつつあります。レストランが再開されて共食も始まっています。日本でもいずれそうなるのでしょうが、前と同じように地球に負荷をかけた生活(大量生産、大量消費)に戻れば感染症は舞い戻るに違いありません。共食を禁止してしまえば感染症には効果的ですが、精神の不安ひいては種の危険にまで達する可能性があります。物事というのは何事もほどほどが正解です。共食は残しながら、距離も近過ぎないことが大事でしょう。でもこれが案外難しいのですよね、ご同輩。

顧問医師:中川 晶
令和3年5月

中川晶先生プロフィール

中川晶先生プロフィール

 産経新聞の『中川晶の"生き方セラピー"』でご存知の方もおられると思います。
10年来お付き合いいただいている私共が言うのもなんですが、それはもう愉快な方で、一度語り始めると尽きることがないかのように実に幅広い、しかも有益で面白い話題が湧き出てくるのです。これはおそらく、一度や二度ではない挫折体験と、森羅万象に対する、特に人間に対するとてつもない興味がなせる技だと思えます。受験生についてもご自身の実体験と、臨床心理士としての深い洞察から、真の受験生の心の友となっていただけること請け合いです。先生のユニークで的を得たお話しを、お楽しみください。

  • なかがわ中之島クリニック院長
  • 奈良県立医科大学医学部卒業
  • 精神科専門医、臨床心理士
  • 大阪赤十字病院看護部講師
  • ナラティブコミュニケーション研究所所長
  • 京都看護大学大学院特任教授
  • 奈良学園大学保健医療学部客員教授
  • 京都大学医学部講師
  • 日本保健医療行動科学会会長
<著書・共著>
「心療内科のメルヘン・セラピー」(講談社)
「やすらぎが見つかる心理学」(PHP)
「心理療法」(朱鷺書房)
「ココロの健康からだの医学」(フォーラムA)父(故人)中川米造先生との共著 他

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